土曜住宅学校 中村好文さんを迎えてスタート 
土曜住宅学校 中村好文さんを迎えてスタート _b0014003_10105835.jpg

9月13日(土)土曜住宅学校がスタートしました。
建築家:中村好文さんを迎えて、働く小屋「LEMM HUT」についてお話をいただきました。

第1回目の講師は中村好文さんと決めていたこと
会場の自由学園・明日館講堂の雰囲気も良く、聴衆約100人、
今回のレクチャーの内容・・・・土曜住宅学校のスタートとして申し分ありません(笑)。

姉歯事件以降、日本の家づくりは不本意な方向へ流され続けています。
住まいを役人と経済人から取り返さなければなりません。
そこで、何か行動を・・・ということで土曜住宅学校をやることに・・・。

国の方から環境だのエコだの、200年だの、保証だの・・・・
と押しつけられる中で、中村さんの話は「浄化作用」とも言うべき内容だったと思います。

子供の頃から小屋好きだった中村さんは
「線や管を減らすことが文明度と文化度を上げる」ことではないか・・・
と小屋づくりに取り組みます。

既存の民家のリノベーション、ハーフビルド、太陽光発電、風力発電、雨水利用・・・。
決して珍しいことではないのですが、
中村さんがやるとそれが美しく、さりげなく、楽しく(仕掛け満載)まとまる。

「無骨な山小屋」、「メカニックなパビリオン」にはならないのです。
「住宅名人」であることに加えて「生活名人」であるからなのでしょう。
「職人の腕とデザイナーの眼」を同時に持ち得る人の仕事です。

中村さんは「普請道楽」、あるいは「普請病」と言ってもいいのではないかと思います。
吉村先生の山荘や奥村先生の木曽の板倉は「避暑地の仕事場」であったのですが
中村さんの小屋は仕事とは無縁のように思います(笑)。

そのような質問に
「自分の居心地のいい場所を作るのが好き」と言うことでした。
次から次へと自分の居心地のいい場所を作り続ける・・・作りたがる・・・
それが普請病の原因でした。
建築家と言うのはそのような人のことを言うのでしょうね。

中村さんは「ブツ」を作ることだけでなく、そのプロセスを演出し、楽しむ事にも
意識を注がれているように思います。
まるで映画を作っているかのように楽しんでいるように思えるのです。

「中村さんって映画監督みたいですよね・・・」というと
「次、生まれてきたら映画監督になりたい」とのこと。
「職人の腕とデザイナーの眼、加えて映画監督の総合力」ということになりますか?(笑)

建築はその建築(ブツ)だけで生き続けている(評価されている)のではなくて
記憶や記録も一体となって価値が続くのでしょう。
ドキュメンタリー映画を撮るような感覚も大事なのだと感じました。
そのように自分たちの価値を伝えていかなければなりません。

今の時代の住宅は「よけいなモノ、不粋な記号」が
たくさん付いてしまっています。
それを望む住まい手も大勢いることは確かです・・・残念な事に。
中村さんのお話をお伺いして
土曜住宅学校はむしろ住まい手に向けて行いたいと思いました。


土曜住宅学校 学生枠まだまだ募集中
by satoshi_irei | 2008-09-16 10:54 | ・住まい・建築 | Trackback(1) | Comments(16)
Tracked from Yan's diary at 2008-09-18 06:49
タイトル : 土曜住宅学校 中村好文先生
先週の土曜日からスタートした土曜住宅学校。 会場は自由学園明日館講堂です。講堂といっても教会の礼拝堂を思わせる雰囲気。 100名以上の参加人数だったようです。 今回のお話のメインは 「Lemm Hut」 以前から考えていた住まいを実験住宅として建築。 ご自身や事務所のみなさんでお使いになっているとのこと。 「Lemm Hut」は線や管に頼らないスタイルの住まい。 線や管を断ち切ることで得られる価値や文化があるとのこと。   *線や管とは上下水道・電気・ガス・電話などライフライン...... more
Commented by michiphoto at 2008-09-16 11:45
土曜住宅学校に参加している岩谷です。
非常に楽しく刺激的な時間でした。
伊礼さんの書いていらっしゃるように、まさに住まい手として聴いていました。
次回も楽しみにしています。
Commented by adsan at 2008-09-16 11:56
第一回土曜住宅学校、お疲れ様でした。「協賛席」でしたが、一受講者として聴き入ってました。(笑) 次回ももちろん参加させていただきます。
Commented by satoshi_irei at 2008-09-16 13:42
michiphotoさん
こんにちは。何とかまとまって良かったと思っています。
長谷川豪さんもお楽しみに・・・。
Commented by satoshi_irei at 2008-09-16 13:43
塚本さん
協賛席からありがとうございました(笑)
聴講券10枚、駆使してください(笑)。
Commented by Ryo Iida at 2008-09-16 17:13 x
先日は大変お疲れ様でした!
あと三回頑張ってください(笑)

土曜住宅学校はむしろ住まい手に・・・@
逆にぼくらが住まい手の立場に戻って聞き入るというのも面白いと思います。

事業として続けるには「経済性」は外せません。
が、それがいつしか偏りに走る。
それを見直す“原点回帰”のチャンスだとも思いました。

いつも相手の立場に立って物事を考えなくてはいけませんもんね。
Commented by satoshi_irei at 2008-09-16 17:37
飯田様

面白い魅力ある仕事をしている人達から学ぶ事は多いですね。
「いい住まいとはどんなものか」を考えて行きたいと思います。
Commented by tokyomachiya at 2008-09-16 21:19
>建築はその建築(ブツ)だけで生き続けている(評価されている)のではなくて、記憶や記録も一体となって価値が続くのでしょう。

そこに至った軌跡は、住まい手にとってとても大切な事ですね。
社会的・経済的・法的・設備的等々、非常に複雑化してその価値が見えにくくなってしまった住宅。もっとシンプルになれば、嘘も間違えも見分けやすいのに。そして本当に必要な事も・・・。

古民家の力強さや魅力は、その単純な潔さにあるのかも。
Commented by satoshi_irei at 2008-09-16 22:36
作り手が住まい手に対する伝えるが努力足りないと思います。

それはいいですが、ゆっくり休んでください。

Commented by kameplan_arch at 2008-09-17 02:12
最近はなんだか基準法改正や瑕疵担保関係の、
いわゆる「耳で聞く」講習会が多かったので、
ちょっと胃もたれ気味でした。
好文さんのセミナーは、「肌で吸収する」ような、
呼吸の中に生きる空間がある。
聴講しながらそんなコトを考えていました。
セミナーを聴いているうちに俄然ヤル気が出てきて、
セミナー中にプランを1つ、仕上げてしまいました。(苦笑)
Commented by azuki_ice at 2008-09-17 08:16
> 土曜住宅学校はむしろ住まい手に向けて行いたいと思いました。
いいですね。もちろん参加させて頂きます♪
Commented by suji_architect at 2008-09-17 09:31
筋野です。
とても楽しく聞かせて頂きました、ありがとうござます。
住まい手に向けての作り手のあり方など、思うところがたくさんありました。
聞く人を引き付ける魅力あふれる語り口調に、すっかり聞き入ってしまいました。
次回も楽しみにしております。
Commented by satoshi_irei at 2008-09-17 17:47
kameplan_archさん
住宅の世界は確実に変わっていきますが
それでも執念を持って、役人と経済人に対向して
「いいもの」を作りたいと思います(笑)
Commented by satoshi_irei at 2008-09-17 17:48
あずきさん・・・すみません。
協賛企業たくさん集めないとどうしても参加費を抑えられなくて
次からつきあいのある工務店、メーカーを「強制協賛企業」にしようかと思っています(笑)。
Commented by satoshi_irei at 2008-09-17 17:51
筋野さん
ありがとうございます。
中村さんは自己採点で58点、学校で言うと再提出モノ・・・
と反省していましたが、いやいやA+あげたいと思います(笑)
Commented by ame-no-michi at 2008-09-18 06:36
あっという間の2時間でした。
美しく、さりげなく、楽しくまとまる住まい
もっと教育の場が必要だと感じました。
Commented by satoshi_irei at 2008-09-18 10:02
タニタさん
ありがとうございました。
お話をお伺いして実物も体験できると一番いいのですが・・・。


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