ある雑誌の原稿でヒンプンに触れる事になり、ついでにブログでまとめてみる事にした。
下の写真が20数年前に撮った西表島、星立て集落のヒンプン(今はない)。
配置としては典型的だが、素材が珊瑚。
海の近くの集落では決して珍しい事ではないが、一般的には石灰岩である。
中村家や久米島の上江洲など、由緒ある家は石積みが高いが、
竹富島や西表島などの集落では高さが1300ほどが普通。頭より低い。
その中にフク木を中心に植物で屋敷囲いをする。
次は竹富島の住まい。
石灰岩を切り出して積み上げてヒンプンにしている。
屋敷の中に植物がほとんどなく、ちょっとシュールな感じで、
竹富島の中でも好きな住まいのひとつ。
ヒンプン配置としては普通なのだが、入り口にコンクリートか石による敷居が見られる。
ヒンプンの役割は、目隠し、魔除け、
動線の振り分け(男性や客は右、女性は左、、、昔のはなしだが)に加えて、
町と家を緩やかに繋げること。
敷居を設ける事でその役割は損なわれるが、どこか建築的に見えた(笑)。
下の写真はヒンプンの右辺りからスージ(路地)を見たところ。
この写真でみると奥の石垣がヒンプンなのか?と錯覚を起こす。
路地幅とヒンプンの引き込み寸法が同じくらいだと
そういう錯覚がおきそうだということに気づく。
この写真でヒンプンとスージ、
ヒンプンとアシビナー(遊び庭、、、ヒンプンの裏)の関係がよくわかると思う。
沖縄の家は開かれているようで開いていない、
コートハウスのように閉じているようで閉じていない。
以下の写真は沖縄本島から海中道路(実際は海上道路?)でつながっている浜比嘉島の吉本家。
普通、ヒンプンは南側にあり(風水が絡んでいる)、南からアプローチするものだが、
吉本家は西側にスージがありそこからアプローチするので、
写真のように長いアプローチがあり、左に折れてヒンプンがある。
この集落では裕福なお宅だったのだろう、、、
石垣も高く、家も大きい、とにかくアプローチが立派。
ヒンプンの裏はとても開放的になっている。
座っているのは女優の高樹沙耶さん。
沙耶さんが撮影している間に、僕は隅っこで義務的に「実測スケッチ」(笑)
大慌てで実測したスケッチがこれ!
軒下で2040、、、いい高さです。
水平ラインが伸びて(ちょっと軒先がガタが来ていましたが)きれいな民家だと思った。
是非、手を入れて保存してほしい。
ヒンプンは前後の関係が大事だなと思う。
スージの巾との関係、母屋との距離、高さなどで
町の引き込み具合、つながり具合が異なる。