猫のように小さく、猫のように心地よさに敏感に・・・。
新小岩の駅から徒歩15分ほどの住宅地、
敷地面積60,72㎡(18,3坪)と狭小であるにも関わらず、
建ぺい率50%、容積率100%という、何とも涙が出そうな条件である。
そこへご夫婦とまだ幼いノンちゃんの3人で住む。
与条件としては車1台に自転車3台、私道の奥には奥さんの実家があり、
おばあちゃんがいつもノンちゃんに会いに来てくれる。
南側は駐車場があり視界が開けるが
周辺はどう見ても合法とは思えない住宅に囲まれ密集状態である。
駐車と駐輪のためのスペースを確保した、残り半分の土地が
建ぺい率ぎりぎりの約9坪、この中で何ができるだろうと思うと、
「アクロバティックな解き方でないと無理かな?」と
途方に暮れる感じだった。
しかし、エスキースを重ねていくと、
ごく普通の家として解いても成り立つのでは?と思えるようになった。
住まい手は奇抜さや斬新さを望んでいるわけではないこと、
このような極端に小さな家というのは、
住まい手の「住むちから」に頼らざるを得ない・・・。
分かりやすい空間の組立にしていた方がいいのではないかと思い始めた。
結局、無駄をしないこと、広く感じること、寸法を吟味することなど、
「合理」に添って設計を組み立ててみた。
設計:伊礼智/伊礼智設計室 (担当 梅田冴子 島華子)
施工:田中工務店