客室の空間の骨格の話です。
日本建築は柱の太さ、内法の高さ、天井の高さ、間の種類(関東間、関西間・・・)
で空間がだいたい決まります。
それに、柱の面の寸法、枠ちり、鴨居や天井縁の見つけの寸法で
かなり空間の性格が決定されると言っていいでしょう。
面の取り方に加えて、建具・・・障子などのデザイン、(框や組子の寸法)で色気の具合が決まります。
仕上げの色、素材で空間の「風合い」が出てきます。
今回はその辺の必要最小限の実測結果の話です。
上の実測をご覧の通り、吉村順三事務所ですから、
京都の一般的な寸法から言って、無骨です。
コンクリートの箱の中に木造の空間を創り、木造のグリットは960(ミリ)になっています。
関東間が910ですからゆったりしています。
天井高さは「今回は8尺3寸(2490)でいこう」と吉村先生がおっしゃったようです。
奥村先生は「ちょっと高いなあ・・・」と内心思っていたとのこと。
柱は「3寸8分(114)にしよう」と言うことで、
内法は1890、鴨居の見附は36,天井廻り縁は30(図面でも確認)・・・無骨ですねえ。
数寄屋でありながら、書院って感じですよね。
ただ、天井高さは実測では2350でした。図面集での「竹泉の間」の天井高さは2430・・・。
1階と2階では変えたのかも知れませんし、現場で変わったのかも知れません。
障子の框は30、見込み30、組子の見つけは15・・・いつもの「吉村障子」とは違います。
雪見障子にしたためでしょう。
ここで、気になったのが柱の面取り寸法なんです。
実測では30になっています・・・大きいですね・・・これは測り間違いではないか?と
「吉村順三の設計図集」新建築社を引っ張り出してみました・・・ありました、
俵屋の「竹泉の間」の平面詳細と展開図が丸ごと出ていました。
この部屋は中村好文さんが「意中の建築」で宿泊してレポートした部屋です。
それによると柱の面は6ミリとなっています(若き日の奥村先生の文字が幼い)。
実測の間違いか?・・・でも、記憶では「面は大きかったなあ・・」と思っていました。

ここはデジタル写真のいいところ・・・写真を拡大して見ると、
確かに30くらいありそうです・・・20くらいかな?
ほっとすると共に、面取り30・・・この大きな面はどうしてなのか?が理解できません。
もしかしたら、あとで削ったのかも知れない・・・と思っても見たのですが、
実測図の中に「鴨居との取り合い」の絵があります・・・
これはどう見ても、後で削ったと言うわけではなさそうです。
いやいや、柱は天井まで通っているのであるから、後で削ってもこうなる・・・と、
また思い返してみたり・・・。
日本建築に疎い自分にはこれ以上わかりません。
のんびり、調べて見ます・・・と言うわけで、今日はここまで。
面が大きいことで、少し、無骨さが和らいでいるような気もします。
*図面をよく見ると付け柱が面取り6ミリで、柱は基本的に面皮柱でした。
ほら、障子の枠の見付と同じくらいでしょう・・・30くらいですよ。