俵屋の客室・楓の間をご案内しましょう。
たぶん、俵屋でもっとも安い部屋だと思います(笑)。
新館2階の真ん中の小さな部屋。
俵屋に関しては、「一見さんおことわり」、「1泊7万円・・・」という噂があり、
ダメ元で電話してもらったのですが、伝説であることがわかりました(笑)。
1週間前くらいに予約入れればたいてい大丈夫であること、値段も部屋によるようですね。
さて、楓の間ですが、ドアを開けると前室、左側が「本間」、右が水回りとなっています。
「本間」(6帖)からモミジが見えることがこの部屋の特徴とのこと・・・。
入り口ドアのすぐ裏がカバン置き場・・・
浮いた板一枚の何とも簡素な作りですが、ドアの裏というのがなかなかの位置。
目に入りにくく、係の人がサービスするときはしばらく開け放しとなるのですが、
ドアの裏なので防犯的にもひと工夫されているというわけです。
入り口正面は横使いの小竹で視線を遮った、衝立状の壁があり、
その斜め下に冷蔵庫置き場があります。
その冷蔵庫も、もっとも小さなもの・・・とにかく簡素です。
「本間」は大きな雪見障子が特徴です。中庭を切り取り、よけいな景色を遮る役割です。
「本間」の横に実質3畳ほどの府室があります。
ゆっくりと腰掛け、庭を見ながら、本を読んだり、
たばこを吸ったり、お茶を飲んだりするような小さな場所です。
写真で見えるマットのようなものは昼寝のための「シエスタマット」・・・
ベットのない旅館では、そのような気遣いがうれしいですね。
ちょっと横になるために、布団を敷いてもらったりするのも心苦しいですものね。
この府室も気に入りました。
翌朝、係の人が朝一番で絞りたてのジュースを、そこのコーナーに運んでくれました。
庭を見ながらジュースを飲んでいる間に布団を上げ、朝食の準備をしてくれる・・・。
そんな時にも役に立つスペースです。
俵屋は全体が街からの「隠り部屋」のような作りですが、
さらに随所に小さな包み込まれるような「隠り部屋」を内蔵している・・・
そんなところが魅力のひとつだと思います。
一日中くつろげる空間・・・・、小物、気遣いがさりげなく、
簡素にしつらえられた旅館が俵屋でした。