*程よいボリュームを押さえる。
学校を出て、丸谷さんの所に勤め始めて、初担当だった住宅でのこと、、、。
基本設計を詰めて、丸谷さんに相談したら
「今、住んでいる家(施主が)はかなり広い家だから、、、、」といって
少し、建物の幅を広げたり、奥行きを感じるような天井のあり方を検討していた。
自分としてはスパ〜ンとはっきり、割り切れるような空間がいいと思っていたのだが、
部分的に膨らませたり、ちょっと「細かい手入れ」がチマチマしているように思えた。
しかし、結果としてそれがよかった。
今、建て主が住んでいる家を見ることの大事さは何か、、、と言ったとき
ひとつには、「今まで住んでいた住まいのボリューム感」を意識すること、、、と言えると思う。
新しい住まいができて、「明るい」、「広い」、「気持ちいい」、「心地よい」、、、といった感覚は
前の家と比べて、これまでの身体にしみ込んだスケール感、ボリューム感との比較であるはず。
あの時、丸谷さんはそれを言っていたのだ。
それは、決して、それまでの住まいより天井を高くするとか、広い家にするとかと言った
数字で大きくすることではなく(できるならその方が簡単なのだが)、
そう感じる空間を様々な手法で工夫することになる、、、
たいてい、敷地やら法規やらいろんな制約があるから簡単ではないのだが、、、。
小平の家も広々としたマンションにすっきり住まわれているクライアントだったので、
初めて、お宅を見せていただいたときから、
この家のテーマは「ゆったりとした程よい空間のボリューム」を押さえること感じた。
(曖昧な言い方だけど、、、)
ボリューム感覚の良さは、建築家にとって、とても重要な能力のように思う。
プロポーション感覚の良さに繋がることだし、その感覚が優れている人が
設計がうまい、デザインがうまいと言われる人たちに違いない。
そうなりたいと思いつつ、どうすればいいのやら、、、。
設計:伊礼智設計室(伊礼智 森泉綾)
施工:相羽建設(監督 相田隆行)