沖縄・与那原の家
与那原の家は関東で暮らしていた息子さんの家族と
沖縄で暮らしていたお母さんのための2世帯住宅です。

できる限り平屋にしたいこと、バリアフリー、キッチンや水回りは一緒でいいけれど
それぞれの世帯の生活も大事にしたい・・・そんなご要望だったと思います。

つかず、離れずの関係をどう形にしようか・・・?
頭に浮かんだのが「識名園」、琉球王朝の離宮・・・歩き回れるプランの中の
3つの小さな中庭が印象的だったのです。
中庭の周りに動線があり・・・なんだか中庭がプランを司っているような感じがして、
簡単にプランを採ってみました。

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沖縄・与那原の家_b0014003_11233772.jpg沖縄・与那原の家_b0014003_11232483.jpg沖縄・与那原の家_b0014003_11231249.jpg

中庭の配置でプランが成立する・・・
「家族・世帯」の「関係、距離」がつくれるのではないか・・・?
今回、識名園を思い出して2つの中庭で設計を組み立ててみました。


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埋め立ての分譲住宅地、平坦な敷地に新しい家がたくさん建ちはじめています。
最近の沖縄の家は「まぶしい家」「モダンな家」が増えたなあ・・・と思います。
遮熱塗料のせいか?ガラス張りのデザインが増えたからか?
風景もずいぶんと変わってきました。

クライアントはそのような住まいではなくて
いつもの伊礼智設計室の、穏やか(地味?)なテイストを望まれました。
喜んで、遠慮なく、いつものような仕事を心がけさせていただきました(それしかできません)。


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2つある中庭は「海辺の風景」と「やんばるの風景」を創り出そうとしました。
写真は石灰岩の床に「ヘゴの木」をメインにシダ類で足元をまとめています。
「ヘゴ」の枝がもっとのびのびと開いて、活力のある沖縄の風景を創ってもらいたいものです。


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玄関は木製の引き戸、ロードバイクの格納庫でもあります。
脇の植物は「イトバショウ」・・・佇まいがいい。
玄関を抜けると庇の出が2メートルの「アマハジ」へ・・・。

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南側の道路から見る。
生け垣で用意してもらった「クロトン」がかなりさみしい(笑)
「沖縄ではすぐ成長するから・・」ということでしばらく我慢。

玄関で靴をぬいで正面に「海辺の風景」。
それを右へ曲がるとリビング。
リビングとお母さんのテリトリーであるタタミの間(トートーメーがある)の
間の中庭が「ヤンバルの風景」・・・もうちょっと荒々しくなるとちょうどいい(笑)。

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中庭の周りには「動線」を設けてあちこちにアクセスできるようにしてあります。
家族があちこちに勝手に居ることができる、移動できることがいい。
「動線」は風の道にもなってとても涼しい。

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沖縄の伝統的な民家で「クチャ」と呼ばれる部屋があります。
「裏座」の事で寝室に使われることが多い・・
今回、この「クチャ」にあたる場所がダイニングルームです。
2世帯の接点ともいうべき位置にあり、中庭の裏の北側に位置し、
道路から最もプライバシーが守れて、落ち着いて居られる場所です。
北側の部屋はやっぱり涼しい・・・内部から現場発砲ウレタンを吹き付け断熱し、
屋根は防水を兼ねた遮熱塗料を塗り、加えて、光が絞られていること、
風が抜けていくことで涼しさが増していると思います。

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2世帯の関係、道路からの距離の取り方(町に開きつつプライバシーを守る)、
通風を促すための開口部のあり方・・・
それらが2つの中庭の配置によってうまく解けたのではないかと思います。

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沖縄・与那原の家
設計:伊礼智設計室(伊礼智、島華子)
施工:大興建設

主な仕上げ
屋根:遮熱・防水塗料塗布
外壁:コンクリート打ち放しの上、アクアシール2回塗り
内部壁・天井:プラスターボード下地、月桃紙貼り
内部床:チーク無垢フローリング、蜜蝋ワックス仕上げ

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by satoshi_irei | 2010-09-08 20:28 | ・沖縄 与那原の家 | Trackback | Comments(2)
Commented by たかさん at 2010-09-13 18:00 x
コンクリート打放しの中にいつもの佇まいがあって安心できます。
物理的に無理ですが(笑)、訪れてみたい「住宅」です...。
Commented by SATOSHI_IREI at 2010-09-14 21:21
たかさん
その内伊礼ブログは3Dになると思いますので
行かなくていいですよ(笑)。


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