船橋ボックスが壊される・・・
そんな話を先輩の掘啓二さんから聞いた。
先日の土曜日、最後にということでお披露目があり、スタッフを連れて出かけた。
学生の頃から宮脇さんの仕事が好きだった・・・
僕にとっては理解できた数少ない建築家(笑)
船橋ボックスはプランが良くできている、
平面的にも、外部の裏動線のあり方など、回遊性がいい。
玄関を入ると大きなトップライトから降り注ぐ外光で
外部化された階段ホールの空間がこの家のコアとなる。
コンクリートのボックスの中に木造が組み込まれていることも、その頃の宮脇さんのテーマ。
基本設計を担当した椎名英三さんがいらして、
階段ホールの板張り(南京下見張り)の意味をお伺いした。
板の厚みを生かして陰影を出すこと、下見張りが外壁的になり、
より外部を内部に持ち込む感覚を強調できることらしい。
宮脇さんの住宅を実際に見せていただくのは初めて。
見学者は「思ったより小さい・・・」と感慨深げだった。
僕はと言えば、入るなり、
先日、見せていただいた坂本一成さんの「水瀬の町家」を思い起こしていた・・・。
同じころの作品ではないか?
内部に外部がある・・・水瀬の町家はよりこじんまりしていて、町歩き的な感覚が強い。
船橋ボックスの方が住宅としてはきちんとしている・・・
きちんとしている分だけ「町的な外部感」が弱いと思った。
(南に立派な庭があってそちらに開いていることが大きいのかも知れない)
とにかく、うますぎる・・・宮脇さんらしい、生活に対する誠実な仕事と、
事務所を辞めることが確定していた椎名さんの挑戦が
見え隠れする面白い住宅だった。
この家をよりこじんまりさせたら
もっと強い空間ができるだろうな・・・と帰り道に思う。
でも・・・いい住宅である。
学生の頃、宮脇さんをまねて、この家のプランにトレペをあてて暗記した。
実物を見て、やっと課題を終えた気分である。
宿題ももらった(笑)。
まだまだ、この先20年くらいは十分住める住宅なのだが・・残念と言えば残念。