8年前にOMソーラーを搭載した分譲住宅
「ソーラータウン久米川」の仕事したとき、
住宅の部分的な「標準化」を考えた。
標準玄関、標準階段など標準化したものを元に
住宅が創れるかを探った。
ここで積み上げた手法を、クライアントであり、
施工者であった相羽建設は
通常の仕事に生かしたいと考えた。
こうして「i-works]ができあがったのである。
これまで学んできた設計の手法を標準化したものと言って良い。
当初は「プレタポルテの家づくり」と呼んで、
オートクチュール(一品生産)と区別していた。
(詳しくは住宅建築2002年12月号参照)
今はオートクチュールとプレタポルテが一体となって
区別はしていない。
相羽建設と共有の設計手法として
「i-works]はそれから年間30棟ほど、造られていった。
そのリニューアルの仕事である。
この相羽建設のモデルハウスは東京都東村山に建つ。
延べ床25.5坪、4人家族が十分住める「小さな家」である。
外壁はガルバリウム鋼板、
内部は開発のお手伝いをさせていただいた
高千穂の「薩摩中霧島壁」(火山灰)。
8年前と変わらない仕様である。
今回は8年間で試してきた、様々な「手口」を盛り込んでいる。
とは言っても、一般の人たちでも何とか手の届く範囲の「家づくり」。
住宅は広さでなくて、どれだけ心地よい居場所が創れるかだと思う。
小さな空間の中に、小さな居場所を散りばめて、
豊かな住まいが創れるかを試みた。
また、小さな住まいは外部との関わりが重要になる。
外部との関わりを制御できる開口部のあり方を工夫している。
浴室もいつもの標準化された浴室・・・
今回は2階なのでTOTOのハーフユニットバスを使用している。
(1階であればオリジナルの日比野化学工業製を使う)
今回は1階に和室を設けている。
和室の開口部は全面の道路からのプライバシーを考えて
300上げてデッキを設けている。
車や通行する人々からの視線を遮りつつ、緑の借景を楽しめるように・・・。
1階部分は家族構成にあわせていくつかの
仕切り方のバリエーションがあり、住まい手に対応できる。
これまで8年間、「標準化」ということを意識しながら設計をしてきた。
建築家として、作家として、どうだろうか?という声も耳にしてきた。
一方で、「標準化」についてたくさんの講演会を頼まれた(今ではより増えている)。
200年住宅や次々と厳しくなる法規の改正・・・
建築家の責任の取り方が問われている時代。
「標準化されたものが作風」という思考はその答えのひとつであると思う。
(これから出る、住宅建築09年4月号の座談会をご一読下さい)
これまでの仕事を見て、
「プロダクトのような家がつくりたい、
車のように家が売れないか?」と挑発してきた商社の方がいる。
家が車のように土地から解放されるか?、
家具のようにプロダクトになり得るか?
それはとても難しい。
しかし、その先にこれからの日本の住宅のヒントがあるような気がする。
あの、前川国男さんだってプロダクト住宅
(プレモス)に挑戦したのだ。
先は全く見えないが、考えてみたいと思う。
小さな家の勉強会
設計:伊礼智設計室(伊礼智 島華子)
施工:相羽建設