
沖縄県与那原にあるカトリック与那原教会(聖クララ教会)です。
その地に象徴的に存在するよう、道路正面の丘の上に配置されています。
1958年竣工、設計者:片岡献、
設計にあったてはアメリカの設計事務所SOMの助言があったと言われています。
バタフライ型の屋根など、どこか建築家マルセル・ブロイヤーを忍ばせます。
配置(斜面の処理の仕方)がうまいな・・・と思いました。
ステンドグラスの開口部の正面は視界が開け、与那原の町が一望できます。
その前に椰子の木を植え、斜面をつくり、通路を確保したあと、
さらに斜面、その下に植栽を施していますが、
それが下からの景観づくりに効いています。
たぶん、下からの風の吹き上げを防ぐ効果もあったのだと思います。
ライトの建築のように、建築だけでなく、
土木工事にも手を掛けないとつくれない景観だと思いました。


陽差しがきつい面には穴あきブロックを施して日射を遮蔽しています。
このブロックは後に「花ブロック」と呼ばれ、多彩なバリエーションへと展開し、
沖縄のブロック造の特徴となっていきます。
中庭と回廊を隔てる花ブロックは
タテ使いとなっていて、外部と表情を変えています。




中庭はグルッと一周できるようになっています。
入り口から数段上がって礼拝堂へアプローチするやり方もちょっとうまい。
この教会の特徴はモダンなステンドグラスの開口部。
そして地域性を考えて、畳式と椅子式の座席。


スチール製のモダンなサッシュの中にステンドグラスが組み込まれ
きちんと通風も取れるようになっています。


子供のころから、きれいな教会だなと思っていました。
記憶の中の所在地と現実が一致していなくて、
今度設計する住宅の敷地を見に行って偶然、
見かけたときにはとても懐かしく思ったものです。
今回、牧師さんが快く、見学を承諾していただきました。
ありがとうございました。
