![]() ![]() ![]() 久々の俵屋のレポート。 今回は「霞の間」の木漏れ日。 小さなコートハウスのようなこの部屋は、L型の窓から孟宗竹を目の当たりにします。 風に揺れる孟宗竹の葉から漏れてきた光が窓硝子に反射し、映り込み、 中に入ってきた光は畳にバウンドして天井を照らします。 小さなコートハウスからは孟宗竹で空がよく見えないので 畳を見て陽が差していることを確認する・・・不思議な感じです。 ![]() 1階の庭座近くの廊下に漏れてきた光の玉が 俵屋の暗い廊下でとても眩しく思えました。
開口部には内側に雪見障子が仕込まれています。
障子の下、ひとマス残しているところが面白い。 おそらく、景色の切り取り方が、その方がきれいだろうという女将の判断だと思います。 真冬、外側にあるガラス戸(シングル)だけだと寒いので、 庭を見ながら断熱性能を上げるのに有効ですね。 寝るときには障子を降ろすとプライバシーも守れて断熱もより良くなる・・・ 優れた日本の建具のひとつです。 俵屋ではそれだけでは収まりません・・・ ガラス戸と雪見障子の間にカーテンが隠れています(吉村順三事務所のやり口ですね)。 カーテンと雪見障子は必要なときだけ壁の中から出てくるのです。 障子も最後に出てくる奴は戸蓋付きになっています。 少しでも気密を良くしようという丁寧な設計の基本・・・。 ![]() ![]()
![]() ![]() ![]() 中村好文さんは意中の建築で 俵屋について書くに当たって、すべて部屋を見せていただいたそうです。 その中で「竹泉の間」を選んで宿泊し、あの原稿を書いた・・・。 その時に「霞の間」もいいなあと思ったに違いありません。 俵屋に泊まる・・・という話をしたら「霞の間もいいよ」とアドバイスをいただきました。 というわけで今回は迷わず、この部屋をリクエストしておいたのです。 予約を入れた安心感で、それ以上は予習もせず、 旅館にたどり着いて案内されたところが旧館・・・ 前回は新館(40年前に吉村順三事務所で設計したところ)なので、 ちょっとドキドキしたものです。 部屋は廊下の突き当たり・・・ なるほど中村さんの落ち着く部屋の条件のひとつをちゃんと満たしています。 中へ入ると・・・なかなか小さい・・・これも中村好みのような気がしました。 開口が中庭に向いてL型であるのみ・・・ 明暗のはっきりした部屋で、まるで「小さなコートハウス」だと思いました。 ![]() その日は、もう俵屋初心者ではありませんのでのんびりして 翌日、プランを採ってみました。 ごらんのとおり、小さなコートハウスです。 内に隠りながら「外に向かう意識」が強く喚起されるような部屋です。 南国生まれの僕としては、最初は少し、圧迫感を感じたものでしたが 単純なプランは強い空間に繋がるのだなあ・・・と感心しました。 バッグから荷物を取り出し、それ相応の場所へセッティングしていくと 段々と自分の居場所になっていくから不思議です。 ![]() この開口廻りが何とも気持ちいい・・・というわけで、早速、実測!。 天井が2100を切っています。 開口の高さも1700を切っているところが、 ぐっと落ち着きを感じるところと圧迫感の狭間のような気がしました。 そういえば、 引っ越した新しいうちの事務所の内法の高さ(開口のの高さ)がこことほぼ同じなんです。 引っ越しを決めた理由は、実は「霞の間」が効いていたのかも知れません(笑)。 いや・・・よく考えるとその頃には、事務所の改装工事に、すでに入っていたわけですから、 この寸法はもともと相性がいい空間だったのでしょう(笑)。 ![]()
![]() ![]() 何度訪れても、このアプローチには惹かれます。 俵屋はパーフェクトな「コートハウス」とも言えるかも知れないのですが 決して大きくないいくつかのコートが散りばめられ、 様々な方向から表情を変えて楽しませてくれます。 訪れた人が最初に出会うコートがここなのですが 本当に地味な入り口・・・町から、屋根のある空間でちょっと引き込んでおいて、 右手に空に抜けたコートに導きます。「外」から「内」へ引き込み、また「外」へ・・・。 わくわくする路地にも似た、町の引き込み方がとても気に入っています。 どこにも豪華さや脅かしはありません。簡素だけれど、貧相ではない、 素朴だけれど、粗野でない・・・イヤミのない品格が漂っています。 ![]()
![]() 先日、学校の研修旅行で京都へいってきました。 翌日は、せっかくだから・・・仕事なんだから・・・と家内やスタッフに言い聞かせ、 ひとりで俵屋へ調査!!にいかせていただきました。 もちろん、泊まらないと仕事になりません。 途中、話を聞きつけた中村好文さんがいっしょに泊まるような雰囲気もあったのですが 「伊礼といっしょじゃなあ・・・」というわけで結局、ひとり。 中村さんに「霞の部屋もいいよ」とお伺いしていたので 今回は「霞」をリクエストしておきました。 部屋の話はあとにするとして、 今回は入り口の雨樋・・・そろそろタニタスタンダード「ガルバ半丸」が 販売開始になるのに便乗して、あるいは盛り上げ(笑)をということで、この写真です。 小さくていいですね。 今後のガルバ半丸にこれくらいの小さな樋を加えたい・・・ ちょうど、今やっている現場で、小庇用の樋があればなあ?と思っていたところですので・・・。 ![]() 旅館に泊まってくつろぐのは、浴衣に着替えたとき。 しかし、前からず〜と思っていたのですが、浴衣で寝るのはどうしても心地よくない。 はだけてしまってだらしない、帯でおなかを締め付ける感じが苦手らしい。 俵屋では部屋着は浴衣ですが、寝間着(パジャマ)が別に用意されています。 女将のデザインだと思いますが、このような気配りが俵屋らしいですね。 俵屋の布団は高さが20センチはあるのではないか?と思われるほどの立派なもの。 掛け布団は羽毛らしい・・・。 「秒殺のふとん」と呼んでもいいかもしれません。 ただ、僕は日付が変わるまで部屋を実測していました(笑)・・・・ やっぱり、疲れる旅館です。 ![]() 僕の勘違いかも知れませんが 鰹だしを濃縮した餡をおかゆにかけて食べる・・・ そんな、俵屋の朝ご飯が一番おいしいという話をどこかで読んだ記憶がありました。 (そう言えば、自分の文体で、そんな・・・ と表現する、「そんな」が無駄!!と栗田亘さんに指摘されまし・・・た笑) ですから、前の晩に、 朝、いただく干物を2種類選んでくださいと言われた時、 ちょっと、がっかりしたのです(笑)。 アジとハタハタにしていただきました。 京都ですから、湯豆腐が基本、ちりめん山椒も欠かせません。 もちろん、京野菜のお新香もそろい踏みとなります。 典型的な京旅館の朝ご飯といえるでしょう。
俵屋の夕食です。
こういうネタは早くアップした方が感動が伝わると思うのですが・・・ 時間が経ってしまいました。 たぶん、興味のある方は多いと思いますが・・・すごいという感じはありません(俵屋らしい)。 建築同様、簡素で品格があります。 メインのメニューは鴨鍋です。 厚みのある鴨肉と生麩が水菜とネギの2色に分けられた中央に浮いています。 もちろん・・・おいしい。 僕には正直なところ、どうこう、判断できない水準の様な気もします(笑)・・・ 取り合えず、ご報告まで。 ![]()
俵屋旅館のあちこちに、控えめにあんどん型のフロアスタンドが置かれています。
落ち着いた空間を創るとき「明かりの重心」を低くします。 例えば、天井面に照明をできるだけ付けないだけでも違います。 中には女将がデザインしたオリジナルのスタンドもあり、 ショップで販売しておりました(上部、右の写真)。 フロアスタンド好きの身としては、 オリジナルの「けれんみのないスタンド」を創りたいですね。 ![]() ![]() ![]() ![]() 岸根町の家オープンハウスのお知らせ ・日時 2/18(土)、19(日) 午前10時〜午後5時頃まで ・場所 横浜市港北区岸根町 (横浜市営地下鉄 岸根公園駅下車、2番出口より、徒歩15分) ・当日の連絡先 090−2910−9434 (18日は現場にいる予定です) ・設計監理 伊礼智設計室 (伊礼智、梅田冴子) ・施工 創建舎 (監督 増田憲彦 大工 上井戸健一) 見学希望の方は 03−3565−7344まで住所・氏名・ファックス番号を明記の上、 ファックスをお送りいただくか、メールにてお申し込み下さい。 地図をお送りいたします。 その他のオープンハウス情報 ・3月11日、12日は福島県浪江町(施工:田中建設工業) ・3月25日、26日は東京都東中野(施工:田中工務店) ・伊礼智設計室のプロフィール、仕事(作品)については右のカテゴリの中からご覧下さい。
俵屋の入り口は、素っ気ない。
塀の中にポコッと穴が空いているような感じなんです。 大きなホテルや旅館のように立派な玄関なんてものではありません。 ところが、さすが俵屋・・・このアプローチがとても気に入りました。 街を引き込むように屋根の掛かった引きの空間があり、 そこを右に折れると屋根のない中庭に出ます。 その左手に民家の縁側にも似た玄関・・・というよりも靴脱ぎ場があるのですが 江戸末期の雰囲気を残した、慎ましやかな風情で、 「俵屋に泊まるぞ!!」という無駄な緊張感がす〜とほぐれる感じがするのです(笑)。 ![]() ![]() ![]() ![]() 俵屋の「アプローチの仕組み」は外と内の繰り返しでしたが、 僕の設計した「光が丘の家」(新建築・住宅特集00,9月号)と、 「ヒンプンハウス」(新建築・住宅特集03,3月号)のアプローチは 外のアプローチを内蔵化し、そこから玄関や勝手口にアプローチすることになっています。 建具を開けて玄関だと思ったら、そうでなくて、さらに奥に続く・・・。 「奥」を感じさせる空間の引き込み方となっていると思います。 俵屋のアプローチはまさにそう・・・これが京都か?・・・と思ったものでした。 そう言えば、沖縄の民家に見られる「ヒンプン」も奥を感じさせる、 空間の引き込み装置かも知れませんね。 先日、建築家の吉井歳晴さんが僕の和室の取り方について「奥」を感じる・・・ というような事を話してくれました。 本人としてはそのような意識はなかったのです。 今考えると、上記したような「街からの空間の引き込み方」が、 実際の住まいの大きさよりもず〜と「奥」を感じるような設計になっている・・・ それが奥の方に和室を作る傾向があるので(どうも、僕はそうらしい)、 そう感じたんでしょうね・・・ちょっと、納得。 < 前のページ次のページ >
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