カメラマンの西川公朗さんから那珂湊の家の写真が届きました。
竣工して1年近く、庭の緑のスクリーンも馴染み、
海のイメージのダイカンドラと白砂の対比もはっきりしてきたようです。
延べ床62坪の2世帯住宅、
中央の吹き抜け空間で2世帯の距離を取っています。
大きな住まいは設計が凡庸になりやすい・・・、
あるいは「脅し」の効いた空間に陥りやすい。
いつもの小さな住まいのように、小さな居場所をつなげていって
大きな生活空間をまとめています。
明るいところと暗いところ、狭いところと広いところ、
低いところと高いところ・・・など逆の感覚を
相互繋げて、組み立ててみました。
南側の外観と東側の外観・・・至って普通(笑)。
外壁は火山灰(そとん壁)のかき落とし仕上げ。
玄関に入ると、トップライトに照らされた壁が走り、
意識が坪庭と空とに向かいます。
奥行きと高さを感じて上がり框を上がります。
そこは天井高さが1860.グッと天井を押さえてあります・・・
その向こうにトップライトのある吹き抜けたホールがある。
明るさと暗さ、高さと低さ、長い距離と囲われた感じ・・
・これらの感覚を「入れ子」にして空間を組み立てています。
タテに高いホールを抜けるとダイニング。天井の高さは2100に抑えてあります。
そこから吹き抜けたリビングと外部へ視線が抜けていきます。
壁は火山灰(薩摩中霧島壁)のハケ引き、調湿・消臭効果に優れます。
天井も火山灰(ビーナスコート)。
敷地境界はずっと先。外部周辺からプライバシーを守りつつ、緑で囲んでいます。
2階の子供達のリビングからの見下ろしです。
子供達のリビングを介して、トップライトで空に抜けたホールへ繋がります。
障子はいつもの吉村障子、組子の割付から開口寸法を合わせていきます。
寝室からの見下ろし。
リビングの吹き抜け部分に繋がる寝室は、
両脇にクロゼットのある通路を抜けてアプローチ、
その手前に空に抜けたホールがあります。
ここでも狭さと広がりの「入れ子」になっています。
1階の小さな和室。
2世帯共通のお茶の間的な存在です。
お仏壇や神様のいる空間です。
ホール上部は3連のトップライトで空に抜けていきます。
ぐるりと廻れる動線上に
子供達の部屋やトイレ、ピアノコーナー、寝室が配置されています。
(トップライトの見上げ写真は伊礼撮影)
設計:伊礼智設計室(伊礼智 森泉綾)
施工:自然と住まい研究所
写真:西川公朗
オープンハウス時の様子