今日は午後から坂本一成さんの名作「水無瀬の町家」と
「ANNEX」(別棟)を見学させていただいた。
水無瀬の町家の良さがどうしても、今ひとつ理解できなかった。
あの絶妙と微妙の狭間のプロポーションといい(ねらっているのだろうとは思う)、
どうしてぼこぼこと出窓が出ているのか?・・・どこかピンと来なかったのだが
建築は実物を見なければ分からないものがあることを思い知る・・・
分かってはいたのだが。
水無瀬の町家の玄関を入ると
吹き抜けを通してトップライトから光が降り注ぎ、
なんだか外国の路地を歩いているかのよう・・・・そこは街空間だと思った。
キッチンや個室がまるで一戸建ての小さな家のように、
その街空間に建具の操作で応答するようになっている。
室内(リビングや個室)がさらに通り(町)と出窓を通して応答しているように思えた。
あの出窓は応答の結果なのだ・・・。
昔は内部の吹き抜けにブリッジが架けられて
サーキュレーションがあったようだ(今はなくなった)。
町歩きのような移動する道空間が仕込まれていたのだ。
ANNEXの方へ移動する・・・
スキップフロアを移動していくと、
先日、芦屋で見学したライトの山邑邸と似ていると思った。
小さな空間が道で縫われているような構成。
普通でない断面計画・・・
プロポーション、寸法へのこだわり(シナベニアが突きつけで、壁天井に目地がが通っている)
とアクティビティを喚起するような移動性を強く意識した。
活躍中の若手建築家が「りビングはどこですか?」との質問に
坂本さんは「みんなビングじゃないか!!あっちもこっちも・・・」という答えが印象的だった(笑)。
限定しすぎて硬直した住まいではなく、
あっちにもこっちにも居場所がある、歩き回れる・・・
表現は違うけれど、自分の方向性と似ている。
新旧の住まいの間にできた中庭がどこかアジアの路地裏に表れる風景に似て
時間の染みついた生活感が心地よかった。