沖縄・結いの家
設計:伊礼智設計室(伊礼智 福井典子)+アイムホーム
施工:アイムホーム
造園:荻野寿也監修
アドバイザー:東京大学・前研究室+琉球大学・堤研究室+OMソーラー株式会社
結いの家で考えたこと
この家は蒸暑地域における太陽熱エネルギー活用型住宅の実験住宅として建てられました。
高性能断熱や蓄熱建材、太陽熱活用システムなどの省エネルギーの手法を用い、
空調・給湯エネルギーの5割削減を目指して、
その成果を計測、実証しようというプロジェクトです。
■配置計画で工夫したこと
結いの家は親子2世帯がつかず離れず暮らすための住宅として設計されています。
上下(1階と2・3階)に分かれる完全2世帯のコンクリート造の3階建て。
敷地は北側に道路を持ち、西側に大きなマンション、東側は駐車場を挟んで隣家、
南は大きな駐車場となっています。
東西はご近所の視線に、南北からは台風の風や真夏の熱風に曝されると感じました。
そこで、プライバシーの確保と耐風・耐熱の観点から、
東側に花ブロックとコンクリートの壁で囲われた半戸外空間を設け、中庭を創る事にしました。
中庭は「ヤンバルの原風景」を再現するべく、ヤンバルの木々を植え、
リビングと繋がり、涼風漂う「クールスポット」となる事を狙いました。
日射を絞り、花ブロックを抜ける風が落ち着いた涼しいリビングを創り出す事を願います。
室内の仕上げは住まい手の健康のために自然素材でまとめ、
置家具や照明のあり方にも新しい提案を行います。
設備メーカーのLIXILと開発したハーフユニットバスも発売を前に先行してお披露目です。
■ 省エネのために工夫したこと
戦後、沖縄で普及した「花ブロック」を活用して遮熱を試みました。
今回はさらに花ブロックに遮熱塗料を塗り、花ブロック自体への蓄熱を
防ぎ、夜間の放熱を防ぐ工夫をしました。
また、沖縄の伝統的な民家に見られる大きな軒下空間「アマハジ」を
ヒントに、花ブロックで囲まれた半戸外空間に「クールスポット」(涼しい空気の溜まり)の
生成を試み、沖縄の原風景を感じさせる木々を植え、
涼しい爽やかな空気を室内に採り入れる事を試みています。
さらに、屋上緑化、断熱ブロックを敷くことで屋根面からの日射を遮蔽します。
省エネ設備として、空気集熱式ソーラーシステム「OMソーラー」にて、
デシカントクーリング(除湿冷房)に挑戦しています。
さらに、OMクワトロソーラーにより、太陽熱を利用して一年を通してお湯採りと、
真冬の床暖房を行いながら、太陽光発電により電気を創り出すことができます。
また、沖縄では一般的に壁面を断熱しませんが、壁面の断熱材のある・なしの検証も行います。
断熱する事で冷房負荷がどれだけ減らせるかを検証。
■ 詳細な計測と解析を行います。
このプロジェクトには東京大学の前研究室と琉球大学の堤研究室のご協力を得て、
2年間に渡り沖縄初の詳細な計測と解析を行います。
この結果が沖縄の家づくりの何らかの指標となり、
少しでも貢献できればと願っています。
(有)伊礼智設計室
住所:〒171−0031 東京都豊島区目白3−20−24
電話:03−3565−7344(FAXとも)
メール:irei@interlink.or.jp
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